「親が施設に入って、実家が空き家になった」
「誰も住む予定のない実家、そろそろどうにかしないと…」

実家じまいは、多くの人にとって人生で一度きり。何から手を付ければいいのか分からないのが当たり前です。しかも仕事や自分の家庭で忙しいなか、遠方の実家と往復しながら進めるケースがほとんどです。

結論からお伝えすると、実家じまいは次の7ステップで進めるのが基本です。

  1. 家族で話し合う
  2. 家の中を仕分ける
  3. 不用品・遺品を処分する
  4. 家の状態を把握する
  5. 活用方針(売る・貸す・解体・維持)を決める
  6. 手続き・精算をする
  7. 完了後の整理(挨拶・お墓や仏壇のこと)

この順番を間違えると、「相続の手続きが終わっていないのに家を売ろうとして止まる」「勢いで捨てた形見のことで兄弟と揉める」といった後戻りできない失敗につながります。

この記事では、7ステップの具体的な進め方に加えて、費用の総額目安、親が存命の場合と相続後の場合の違い、後悔しやすいポイントまで、実家じまいの全体像を1記事で解説します。よくある失敗を先に知っておきたい方は、実家じまいで後悔したこと10選もあわせてどうぞ。

実家じまいとは?まず全体像と費用を把握しよう

実家じまいとは、親が住んでいた(住んでいる)実家を片付け、最終的に家をどうするか決めて実行することの全体を指します。単なる「片付け」ではなく、次の3つの要素で構成されています。

  • モノの整理: 家財・遺品・貴重品の仕分けと処分
  • 家の処分・活用: 売却・賃貸・解体・維持のいずれかの決断
  • 手続き: 相続登記、ライフラインの精算、各種名義変更

費用の総額目安

実家じまいの費用は、「どこまで自分でやるか」と「家をどうするか」で大きく変わります。

項目費用の目安備考
家財・不用品の処分(業者依頼)15万〜60万円程度間取り・物量で変動。自治体回収の併用で圧縮可
遺品整理(業者依頼)3万〜70万円程度1K〜一軒家まで間取りで変動
ハウスクリーニング3万〜10万円程度売却・賃貸に出す場合
解体100万〜300万円程度構造・坪数・立地条件で変動
相続登記など専門家費用数万〜十数万円程度司法書士への依頼内容による

※金額はあくまで一般的な目安です。地域や条件で大きく変わるため、必ず複数社の見積もりで確認してください。

ポイント: 最初に「総額でいくらまでかけられるか」を家族で共有しておくこと。ここが曖昧なまま進めると、費用負担をめぐって後から揉める原因になります。

期間の目安

実家じまいは、早くて数ヶ月、長いと数年がかりです。特に「家族の合意形成」と「家の売却」は自分のペースで進められない部分なので、余裕を持った計画にしましょう。

【重要】親が存命か、相続後かで進め方が変わる

実家じまいの記事の多くは「親が亡くなった後」を前提に書かれていますが、実際には親が元気なうちに始めるほうが、費用も気持ちの負担も圧倒的に軽くなります。ご自身の状況に合わせてルートを選んでください。

親が存命の場合:生前整理ルート

親が元気なうちに進める場合の最大のメリットは、「これは残したい」「これは処分していい」を本人に確認しながら進められることです。

  • モノの要不要を親自身が判断できる(後で揉めない)
  • 貴重品・重要書類の場所を確認できる
  • 家をどうしたいか、親の意向を聞ける

一方で、親にとって実家じまいの話は「自分の最期の話」に聞こえがちです。切り出し方には配慮が必要です。詳しくは生前整理を親に勧める言い方で解説しています。

相続後の場合:相続手続きが先

親が亡くなった後の実家じまいでは、片付けの前に相続の確認が必要です。相続人が確定していない段階で家財を大きく処分したり、家の売却を進めたりするとトラブルのもとになります。

相続登記(2024年から義務化)や相続税については期限もあるため、早い段階で司法書士・税理士など専門家に確認することをおすすめします。当サイトでは法律・税務の個別判断には踏み込まず、「どの段階で専門家に相談すべきか」を示すにとどめます。

実家じまいの進め方7ステップ

ステップ1: 家族で話し合う

最初にやるべきは片付けではなく話し合いです。決めておくことは次の4つです。

  • 誰が主導するか(窓口役を1人決める)
  • 費用を誰がどう負担するか
  • 思い出の品をどう扱うか(勝手に捨てないルール)
  • 最終的に家をどうしたいか(現時点の仮の方向性でOK)

兄弟姉妹がいる場合、「言った・言わない」を防ぐために、話し合った内容は簡単でいいのでメモやグループチャットに残しておきましょう。

ステップ2: 家の中を仕分ける

いきなり捨て始めるのではなく、まず4つに仕分けます。

分類扱い
貴重品・重要書類権利証、通帳、保険証券、年金関係、実印最優先で確保・保管
形見・思い出の品写真、手紙、趣味の品保留箱へ。判断は最後
使えるもの家電、家具、ブランド品、貴金属買取・譲渡を検討
処分するもの上記以外自治体回収 or 業者

ポイントは、思い出の品の判断を最後に回すこと。最初に写真や手紙に手を付けると、1日があっという間に終わります(そして疲れて挫折します)。

ステップ3: 不用品・遺品を処分する

処分方法は大きく3つあり、費用と手間のバランスで組み合わせるのが現実的です。

  1. 自治体の粗大ごみ・回収: 最安。ただし手間と時間がかかり、遠方だと厳しい
  2. 買取業者: 家電・貴金属・着物などは出張買取でお金に変わる可能性
  3. 不用品回収・遺品整理業者: 一括で早い。物量が多い・遠方・時間がない場合の現実解

業者に頼む場合は、必ず2〜3社の相見積もりを取ってください。同じ作業でも業者によって数万〜十数万円の差が出ることがあります。また、一般廃棄物収集運搬の許可(または許可業者との提携)があるかは、悪質業者を避ける基本のチェックポイントです。

なお、遺品整理を業者に頼むべきか自分でやるべきかの判断基準は、遺品整理を自分でやる方法で詳しく解説しています。

ステップ4: 家の状態を把握する

モノが減って家の中が見えるようになったら、家そのものの状態を確認します。

  • 雨漏り・シロアリ・傾きなどの劣化
  • 隣地との境界が明確か
  • 接している道路の状況(再建築できるかに関わる)

この情報は、次のステップ「売る・貸す・解体・維持」の判断材料になります。自分で判断できない部分は、不動産会社の査定時に確認すればOKです。

ステップ5: 活用方針を決める(売る・貸す・解体・維持)

実家じまいで最大の決断です。判断軸をシンプルにすると次のとおりです。

選択肢向いているケース注意点
売却使う予定がない/管理できない立地・状態で価格差が大きい。複数社査定が基本
賃貸立地が良い/手放したくない修繕・管理の手間と費用が継続的にかかる
解体して土地活用・売却建物の傷みが激しい解体費用+固定資産税が上がる場合がある
当面維持気持ちの整理がつかない空き家の管理義務・劣化・特定空家のリスク
注意: 「とりあえず放置」が一番危険です。空き家は劣化が早く、管理不全と判断されると税制上の優遇を失う可能性もあります。維持を選ぶなら「誰がどの頻度で見に行くか」まで決めておきましょう。

ステップ6: 手続き・精算をする

方針が決まったら、事務的な手続きを進めます。

  • 電気・ガス・水道などライフラインの解約・精算
  • 火災保険の見直し・解約(空き家期間中は空き家向け保険への切り替えも検討)
  • 郵便物の転送手続き
  • 相続登記・売買契約などは司法書士・不動産会社と進める

ステップ7: 完了後の整理

家の処分が終わっても、実家じまいにはもう少し続きがあります。

  • 長年お世話になったご近所への挨拶
  • 仏壇・位牌の扱い(移動・処分には供養の手順があります→仏壇の処分方法
  • お墓をどうするか(実家じまいとセットで考える人が増えています→墓じまいの進め方

実家じまいで後悔しやすいポイント5つ

経験者の声や公開されている失敗談で特に多いのが、次の5つです。

  1. 写真・手紙を勢いで捨てた: 後から一番後悔するのがこれ。迷ったら保留箱へ
  2. 家族に相談せず進めた: 「あれどこ?」「なんで捨てた」は関係に残る傷になります
  3. 相見積もりを取らなかった: 業者間の価格差は想像以上に大きい
  4. 貴重品の確認前に業者を入れた: 権利証や通帳は必ず先に自分たちで確保
  5. 「とりあえず放置」で数年経過: 家は傷み、価値は下がり、気力も落ちます

実家じまいの費用を抑える3つの方法

  1. 自治体のサービスを使い倒す: 粗大ごみ回収は業者より圧倒的に安い。自治体によっては空き家関連の補助金(解体・改修など)もあるため、実家のある市区町村のサイトを確認しましょう
  2. 買取を併用する: 家電・貴金属・着物・カメラなどは、処分費を払う前に買取査定へ
  3. 繁忙期を避ける: 引越しシーズン(2〜4月)は業者の料金が上がりがちです

よくある質問

Q. 実家じまいはどれくらい時間がかかりますか?

物量や家族の状況によりますが、片付けだけなら数週間〜数ヶ月、売却まで含めると半年〜数年が一般的です。一度に終わらせようとせず、帰省のたびに1部屋ずつなど、分割して進めるのが挫折しないコツです。

Q. 遠方に住んでいてもできますか?

可能です。遺品整理業者の多くは立ち会いなし・リモート対応のプランを用意しています。ただし貴重品の確認だけは、最初に一度は自分の目で行うことを強くおすすめします。

Q. 兄弟で意見が合いません。

「家をどうするか」の前に「費用と手間を誰が負担しているか」を見える化すると、話が進みやすくなります。詳しくは実家じまいで兄弟と揉めないためにで解説しています。

まとめ:実家じまいは「話し合い」から始まる

最後に、7ステップをもう一度。

  1. 家族で話し合う
  2. 家の中を仕分ける
  3. 不用品・遺品を処分する
  4. 家の状態を把握する
  5. 活用方針を決める
  6. 手続き・精算をする
  7. 完了後の整理

実家じまいに「正解の形」はありませんが、「順番」にはセオリーがあります。まずは家族との小さな話し合いから始めてみてください。